老化のホールマーク:テロメア消耗とテロメラーゼの生物学
染色体末端のテロメアは分裂のたびに短縮し、臨界長に達した細胞は分裂を停止する。本稿はテロメア消耗を分子の末端複製問題から、複製老化、組織再生能の低下、個体の疾患リスクまでの多段機序として、相関と因果を区別しながら整理する。
Telomere & Telomerase
染色体末端構造とその伸長酵素テロメラーゼ。消耗は細胞老化の指標。
別名・関連表記:テロメラーゼ / テロメア消耗
染色体末端のテロメアは分裂のたびに短縮し、臨界長に達した細胞は分裂を停止する。本稿はテロメア消耗を分子の末端複製問題から、複製老化、組織再生能の低下、個体の疾患リスクまでの多段機序として、相関と因果を区別しながら整理する。
切断されても全身を再生するプラナリアは、成体多能性幹細胞ネオブラストと体細胞でのテロメラーゼ活性により「無視できる老化」を示す。2011 年に Wagner らが、2012 年に Tan らが報告した知見を起点に、幹細胞枯渇と細胞老化に抵抗する機序を分子から個体まで整理する。
慶應義塾大学百寿総合研究センターの Arai らが 2015 年に EBioMedicine に発表した報告は、半超百寿者を含む高齢者コホートで「炎症マーカー(IL-6 を含む)はテロメア長より強く予後を予測する」ことを示した。inflammaging 概念の臨床的根拠を、機序の側から整理する。