発酵食品とGABA:Sahab 2020 が整理した γ-アミノ酪酸の生成と機能の現在地
2020年に Sahab らが Heliyon で発表した総説は、発酵食品・発酵飲料における γ-アミノ酪酸(GABA)の生成傾向を整理した。乳酸菌発酵が GABA を高濃度に生成しうる機序と、ストレス・睡眠との関連をめぐる証拠の階層を、過大評価を避けつつ振り返る。
抑制性神経伝達物質。一部の乳酸菌・発酵食品が産生する。
別名・関連表記:γ-アミノ酪酸
2020年に Sahab らが Heliyon で発表した総説は、発酵食品・発酵飲料における γ-アミノ酪酸(GABA)の生成傾向を整理した。乳酸菌発酵が GABA を高濃度に生成しうる機序と、ストレス・睡眠との関連をめぐる証拠の階層を、過大評価を避けつつ振り返る。
GABA(γ-アミノ酪酸)は哺乳類中枢の主要な抑制性神経伝達物質で、GAD によりグルタミン酸から合成される。GABAA/GABAB 受容体を介して神経興奮を抑制し、ベンゾジアゼピン等の作用部位として確立。Lactobacillus brevis などの乳酸菌も GAD を持ち、発酵食品に GABA を蓄積させる。経口 GABA の中枢直接作用は BBB 制約から限定的で、血圧・ストレス・睡眠への効果は階層を区別して読む必要がある。
竜眼(龍眼肉・桂円)は中医学で「安神・補血」に用いられてきた。神経保護・睡眠・免疫調節の科学的検証を、ヒトRCT>予備ヒト>動物>in vitro>伝統利用というエビデンス階層で整理し、相関と因果を区別して過大主張を避けながら到達点と空白を示す。
テンペは脱皮・煮熟した大豆をクモノスカビ Rhizopus 属で固体発酵させた食品である。Rhizopus oligosporus が分泌するプロテアーゼ・リパーゼ・フィターゼ・β-グルコシダーゼと随伴細菌の協調が、大豆をどう栄養学的に作り替えるかを、酵素反応とイソフラボン aglycone 化を軸に機序ベースで整理する。
2020年に Tamang らが Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety で発表した世界整理を起点に、麹菌(Aspergillus oryzae)を核とする日本の複合発酵がなぜ機能性の宝庫になりうるかを、酵素機能と代謝物の観点から整理する。酒粕・SAKESOME の研究背景にも触れる。