スペルミジンはどこから来るか:腸内細菌のポリアミン生合成と食事供給の機序
体内のスペルミジンは、自前の生合成・食事からの摂取・腸内細菌による産生という三つの供給源で支えられる。加齢で生合成が落ちる局面で、腸内細菌のポリアミン生合成と食事供給がなぜ重要になるのか。マウスでの probiotic 介入研究と栄養学的整理を、機序の側から多段で解説する。
Sake lees (SAKESOME)
清酒製造の副産物。ポリアミン等の機能性成分を含む発酵素材。
別名・関連表記:SAKESOME / 酒かす
体内のスペルミジンは、自前の生合成・食事からの摂取・腸内細菌による産生という三つの供給源で支えられる。加齢で生合成が落ちる局面で、腸内細菌のポリアミン生合成と食事供給がなぜ重要になるのか。マウスでの probiotic 介入研究と栄養学的整理を、機序の側から多段で解説する。
2020年に Tamang らが Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety で発表した世界整理を起点に、麹菌(Aspergillus oryzae)を核とする日本の複合発酵がなぜ機能性の宝庫になりうるかを、酵素機能と代謝物の観点から整理する。酒粕・SAKESOME の研究背景にも触れる。
2020年に Yamashita らが Journal of Oleo Science で発表したマウス試験は、清酒米と酒粕のエタノール抽出物を比較し、発酵を経た酒粕でグルコシルセラミド・セラミドが高濃度であること、食餌性の酒粕が化学誘発の腸傷害指標を抑制したことを報告した。機序と限界を整理する。
2020年に Madeo らが Annual Review of Nutrition で発表した総説は、食事性ポリアミン(スペルミジン・スペルミン)の供給源・吸収・代謝と健康関連を体系的に整理した。発酵食品が主要な供給源となる機序と、オートファジー誘導をめぐる証拠の階層を振り返る。
麹菌 Aspergillus oryzae は日本酒・味噌・醤油・甘酒の製造を支える糸状菌で、2006 年に日本醸造学会から「国菌」に指定された。Hamajima らが 2016 年に報告した、麹由来グリコシルセラミドが腸内 Blautia coccoides を選択的に増やす知見を起点に、伝統発酵が運ぶ機能性成分の機序を整理する。
酪酸(butyrate)は大腸上皮細胞の主要エネルギー源であると同時に、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤としてもふるまう。Donohoe らが 2011 年に Cell Metabolism で示した「腸内細菌不在のマウスで大腸細胞がオートファジーに陥り、酪酸補充で正常化する」観察は、二つの作用が連動していることを示唆する。