味噌由来菌の加熱殺菌菌体がB細胞のIL-22を誘導する:細胞種とサイトカインを特定した研究
発酵食品が体に良いという経験則を、分子の言葉にどこまで翻訳できるか。東京科学大学の安達貴弘准教授らは、味噌などから分離した菌の加熱殺菌菌体が培養マウス B 細胞にサイトカイン IL-22 を誘導することを 2020 年に報告した。本稿はこの研究で確かめられた範囲と、まだ確かめられていない範囲を切り分けて整理する。
Authors / 編集長 / Editor-in-Chief
Kengo Suzuki
編集長 / Editor-in-Chief
スペースシードホールディングス株式会社 代表取締役。Fermentation × Longevity Review 編集長。発酵と微細藻類による事業化(株式会社ユーグレナの共同創業)を経て、宇宙×ディープテックのベンチャービルダーを設立。津南醸造株式会社 代表取締役、理化学研究所 藻類資源アップサイクル研究チーム チームディレクター を兼任。
所属: Space Seed Holdings Inc.(代表取締役) / 津南醸造株式会社(代表取締役) / 理化学研究所 藻類資源アップサイクル研究チーム(チームディレクター)
発酵食品が体に良いという経験則を、分子の言葉にどこまで翻訳できるか。東京科学大学の安達貴弘准教授らは、味噌などから分離した菌の加熱殺菌菌体が培養マウス B 細胞にサイトカイン IL-22 を誘導することを 2020 年に報告した。本稿はこの研究で確かめられた範囲と、まだ確かめられていない範囲を切り分けて整理する。
鈴木 健吾 10 min COI
地上の発酵槽では確立しているオーランチオキトリウムのDHA・スクアレン生産だが、微小重力や閉鎖生態系での挙動はほぼ空白だ。物質移動・酸素供給・脂質蓄積が重力に依存しうる理由を機序から考え、なぜここが宇宙×発酵の中核的な研究課題なのかを公開情報の範囲で整理する。
鈴木 健吾 11 min
バイオディーゼル副生の粗グリセロール、キャッサバ粕、木質バイオマス。捨てられる残渣を炭素源にして、海洋微生物オーランチオキトリウムはDHAやスクアレンを作る。残渣がどの分子経路で価値ある油脂に変換されるのか、資源循環の機序を客観的に整理する。
鈴木 健吾 11 min
クロレラは1960年代から、閉鎖生態系で酸素を生み二酸化炭素を固定し食料も供給しうる多機能の候補として研究されてきた。NASAのCELSSプログラムや旧ソ連BIOS-3、月面光バイオリアクター構想まで、生命維持系における機能と未解決の論点を歴史と機序で整理する。
鈴木 健吾 11 min
模擬月重力・微小重力下でクロレラの色素や抗酸化能が増大したとする初期報告が出ているが、これは小規模・模擬重力の探索段階データである。微小重力下の生理機序とCELSS統合という研究の空白を、公開情報レベルで誇張せず整理する。
鈴木 健吾 10 min
山中因子を短期・周期的に発現させる部分的初期化は、細胞のアイデンティティを保ったままエピジェネティックな老化指標を巻き戻すことを目指す技術である。本稿はその機序、主要な発見の系譜、安全性の課題、ヒト応用の到達点を整理する。
鈴木 健吾 12 min
日本酒の甘辛・酸味・うま味・香りは、並行複発酵という同時進行系の上で、精米歩合・酒母・三段仕込み・火入れという制御変数によって方向づけられる。各工程が成分プロファイルをどう動かすのかを、分子から官能指標まで段階的に解説する。
鈴木 健吾 12 min
2020年に Tamang らが Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety で発表した世界整理を起点に、麹菌(Aspergillus oryzae)を核とする日本の複合発酵がなぜ機能性の宝庫になりうるかを、酵素機能と代謝物の観点から整理する。酒粕・SAKESOME の研究背景にも触れる。
鈴木 健吾 9 min COI
国際宇宙ステーション(ISS)に 6〜12 か月滞在する宇宙飛行士の腸内細菌叢を追跡した Voorhies らの 2019 年の Scientific Reports 論文は、軌道上で菌叢構成が一定方向に収束し、サイトカインプロファイルの変化と相関することを示した。地球上の発酵食研究と、長期宇宙滞在を見据えた食料系研究をつなぐ位置を整理する。
鈴木 健吾 10 min
2020年に Yamashita らが Journal of Oleo Science で発表したマウス試験は、清酒米と酒粕のエタノール抽出物を比較し、発酵を経た酒粕でグルコシルセラミド・セラミドが高濃度であること、食餌性の酒粕が化学誘発の腸傷害指標を抑制したことを報告した。機序と限界を整理する。
鈴木 健吾 9 min COI
Turroni らが 2020 年に Frontiers in Physiology で報告した総説は、宇宙環境での腸内細菌叢の変化を整理し、プレ/プロバイオティクスを軸とした栄養的対抗策の可能性を論じた。本稿は、宇宙環境の dysbiosis 機序と、発酵食品が長寿研究と接続する経路を整理する。
鈴木 健吾 13 min
麹菌 Aspergillus oryzae は日本酒・味噌・醤油・甘酒の製造を支える糸状菌で、2006 年に日本醸造学会から「国菌」に指定された。Hamajima らが 2016 年に報告した、麹由来グリコシルセラミドが腸内 Blautia coccoides を選択的に増やす知見を起点に、伝統発酵が運ぶ機能性成分の機序を整理する。
鈴木 健吾 9 min COI