Tags / 微生物・生物種

腸内細菌

Gut microbiota

腸内に共生する微生物群集。代謝物を介し宿主の代謝・免疫・老化に関与する。

別名・関連表記:腸内細菌叢 / マイクロバイオーム / 腸内フローラ

腸内環境とSCFA

薬剤と腸内細菌叢:Vich Vila 2020 が示した相互作用と発酵食品の文脈

Vich Vila らが 2020 年に Nature Communications で報告した研究は、41 種類の常用薬が腸内細菌叢の組成と代謝機能に与える影響を整理した。本稿は、薬剤による dysbiosis の機序と、それが高齢者の慢性炎症・短鎖脂肪酸産生にどう関わるか、発酵食品の文脈を整理する。

FLR 編集部 12 min

腸内環境とSCFA

発酵食品の常用者は腸内代謝物が違うか:Taylor 2020 のマルチオミクス観察

2020年に Taylor らが mSystems で発表した研究は、米国 American Gut Project の6,811名の便を多層オミクスで解析し、発酵食品の常用者と非常用者で腸内細菌叢と代謝物に統計的差があること、共役リノール酸の濃縮を観察した。観察研究の限界を踏まえ機序を整理する。

FLR 編集部 8 min

宇宙環境と微生物

宇宙飛行と獲得免疫:Akiyama 2020 が整理したストレス軸と発酵研究の接点

Akiyama らが 2020 年に npj Microgravity で報告した総説は、宇宙飛行のストレス因子がストレスホルモンを介して獲得免疫を変化させる経路を整理した。本稿は、宇宙環境の免疫変動と慢性炎症・腸内発酵が同じ機序の語彙でつながることを多段で掘り下げる。

FLR 編集部 13 min

発酵食品

サワードウの発酵科学:野生酵母と乳酸菌が作るパン種の共生を機序で読む

サワードウのパン種は、野生酵母と乳酸菌が安定した比率で共生する開放系の発酵培養である。ホモ/ヘテロ乳酸発酵が生む乳酸と酢酸、酵素によるグルテンとデンプンの分解、フィチン酸の低減によるミネラルの溶解性向上を機序ベースに整理し、市販イーストパンとの違いと血糖応答に関する限定的なヒト知見を慎重に位置づける。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

食酢を二段階発酵で読む:酵母のアルコール発酵と酢酸菌の酢酸発酵

食酢は、酵母が糖をエタノールへ変えるアルコール発酵と、酢酸菌がそのエタノールを好気的に酢酸へ酸化する酢酸発酵という、二段階の発酵でできる調味料である。原料別の違い、静置法と全面発酵法、酸味の化学、微量成分を機序ベースで整理し、食後血糖への小規模なヒト知見をエビデンス階層の中に位置づける。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

米麹甘酒の発酵科学:麹菌の酵素が生む糖とアミノ酸、「飲む点滴」を検証する

米麹甘酒を発酵科学の視点で整理する。麹菌 Aspergillus oryzae のアミラーゼがデンプンをブドウ糖へ糖化し、α-グルコシダーゼがオリゴ糖を作り、プロテアーゼがペプチドと遊離アミノ酸を生む機序を中立に解説する。生成成分は菌株・原料米・製法で変動すること、「飲む点滴」という言説のどこまでが言えてどこからが過大かをエビデンス階層で読み解く。アルコールを含まない発酵飲料である点や糖質量の注意も併せて記す。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

魚醤の発酵科学:高塩のなかで魚タンパク質が分解され、うま味になるまで

ナンプラーやニョクマム、しょっつる、いしるといった魚醤は、高い塩分のもとで魚のタンパク質が時間をかけて分解されてできる調味料です。魚自身の酵素による自己消化と耐塩性微生物の発酵がどのように遊離アミノ酸やペプチドを生み、グルタミン酸のうま味が立ち上がるのか、その機序と安全性、栄養を公開された査読文献にもとづいて中立的に整理します。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

ケフィアグレインの発酵微生物学:乳酸菌・酵母・酢酸菌がケフィラン多糖で共生する仕組み

ケフィアを発酵させるケフィアグレインは、乳酸菌・酵母・酢酸菌がケフィランという多糖のマトリックスに包まれた多菌種共生の塊である。乳ケフィアと水ケフィアの構成と生成成分(乳酸・微量アルコール・CO2・ケフィラン・ペプチド)を機序ベースに整理し、健康研究はヒトRCTの限界と菌株・製品依存性を含めてエビデンス階層で読む。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

ぬか漬けを機序で読む:米ぬか床を継ぐ乳酸発酵の微生物生態とビタミン移行

ぬか漬けは、米ぬかに塩と水を加えた「ぬか床」を毎日手入れしながら継いでいく乳酸発酵である。本稿では、ぬか床という培地を継ぐことで生じる固有の微生物生態(速い乳酸菌から遅い乳酸菌への遷移、耐塩・耐酸菌の優占、毎日のかき混ぜによる好気と嫌気の管理)を公開査読文献に基づいて整理し、ぬか由来のビタミン B1 などが野菜へ移行する機序、生じる有機酸・香気・塩分の役割を機序ベースで読む。健康との関わりはエビデンス階層に沿って、生菌や植物性乳酸菌の話題が菌株依存で限定的であることを明示して扱う。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

プーアル茶の微生物発酵を機序から読む:渥堆とテアブラウニン生成の科学

プーアル茶(普洱茶)は、茶葉そのものをカビ・酵母・細菌の固体発酵にかける後発酵茶です。本稿では、渥堆(wo dui)と呼ばれる微生物発酵の仕組み、生茶(sheng)と熟茶(shou)の違い、微生物の酵素がカテキン類をテアブラウニン等へ生物変換する機序、没食子酸やロバスタチン類など代謝物の報告を整理します。健康との関わりはエビデンス階層で慎重に扱い、in vitro・動物研究に厚くヒト試験が限られる現状と、相関と因果の境界を示します。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

塩麹はなぜうま味と甘味を引き出すのか:麹菌酵素が食材を変える調味の生化学

塩麹は米麹・塩・水を熟成させた発酵調味料です。麹菌(Aspergillus oryzae)が残すプロテアーゼとアミラーゼが、食材のタンパク質を遊離アミノ酸へ、デンプンを糖へと分解し、うま味・甘味・肉の軟化をもたらします。本稿はその調味の生化学を機序ベースで整理し、塩を含む点も含めて健康にまつわる言説をエビデンス階層で中立に読み解きます。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

テパチェを機序で読む:パイナップル果皮の野生発酵とアップサイクル飲料

メキシコの軽発酵飲料テパチェ(tepache)を機序で整理する。捨てられがちなパイナップルの果皮と芯を糖水に漬け、野生の酵母・乳酸菌・酢酸菌が短期間で進める自然発酵を微生物生態の観点で読み、糖から有機酸・微量アルコール・二酸化炭素・香気が生じる流れを追い、果皮アップサイクルという視点を加える。テパチェ特異のヒトデータは限定的であり、健康との関わりは機序と限界を分けて記述する。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

冬虫夏草の基礎科学:菌が昆虫に寄生する正体、コルジセピン等の成分、人工培養生産を機序で読む

冬虫夏草とは何かを生態・分類から整理する。昆虫に寄生する菌類という正体、天然のOphiocordyceps sinensisと人工培養可能なCordyceps militarisの違い、コルジセピン(3'-deoxyadenosine)やアデノシン・多糖・エルゴステロールといった主要成分の化学、そして固体・液体発酵による培養生産までを機序ベースで解説する。健康効果の評価は次の記事に委ねる。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

カラギナンの科学:海藻多糖の化学・用途と腸への影響をエビデンス階層で読む

カラギナンは紅藻から得られる硫酸化多糖で、増粘やゲル化、安定化のため多くの加工食品に使われている。国際的な規制評価では食品用カラギナンは認可された添加物と位置づけられる一方、一部の動物・試験管内研究では腸の炎症との関連が議論されてきた。本稿では化学と用途を押さえたうえで、安全性をめぐる研究を、規制評価と個別研究を分けながら中立に整理する。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

コーヒーチェリーで作るジャム:カスカラのアップサイクルと成分科学

コーヒー生産で従来は廃棄されてきた果肉部分(カスカラ)を、ジャムとして食用に活かす取り組みが広がっている。本稿では、コーヒーチェリーとカスカラの区別、クロロゲン酸などのポリフェノールやカフェイン・糖・食物繊維といった成分の科学、ジャム化に関わる食品科学、そして健康面のエビデンス階層と安全性の留意点を、過大主張を避けて中立的に整理する。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

ザワークラウトの乳酸発酵を機序から読む:成分の変化と健康エビデンスの階層

ザワークラウトはキャベツを塩と乳酸菌で発酵させた保存食である。本稿では、自然発酵で進む乳酸菌叢の遷移、発酵で生じる有機酸・ビタミン・生菌などの成分の変化、そして近年報告されはじめたヒト試験までをエビデンス階層で整理する。発酵がもたらす変化と、健康効果として語られる主張との境界を、機序に基づいて慎重に読み解いていく。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

スイカと発酵を機序で読む:伝統の乳酸発酵・果皮アップサイクル・シトルリンとリコピン

スイカ(Citrullus lanatus)と発酵を三つの視点で整理する。ロシア・東欧の塩漬け発酵スイカに代表される伝統的な乳酸発酵を微生物学(乳酸菌・塩・嫌気・pH 低下)の観点で読み、廃棄されやすい果皮の乳酸・酵母発酵によるアップサイクルを公開査読文献の範囲で概観し、シトルリンとリコピンが発酵でどう変わりうるかをエビデンス階層に沿って中立に記述する。スイカ特異のヒトデータは限定的であり、健康効果は機序と限界を分けて扱う。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

ヨーグルト発酵の微生物学:2菌種の協同が乳糖・乳タンパク質を作り替える機序

ヨーグルトは Streptococcus thermophilus と Lactobacillus bulgaricus の2菌種が原始協同(proto-cooperation)で乳を作り替えた発酵乳である。乳糖から乳酸への解糖、乳タンパク質の分解と生理活性ペプチド、菌体外多糖の生成を、ポストゲノム/トランスクリプトーム研究を典拠に分子から個体まで多段で整理し、機能性のエビデンス階層を明示する。

FLR 編集部 11 min

腸内環境とSCFA

エクオールとは何か:ダイゼインから生まれる腸内代謝物と「産生型/非産生型」の個人差

エクオール((S)-equol)は大豆イソフラボン ダイゼインが腸内細菌(Adlercreutzia equolifaciens、Slackia 属など)の還元代謝で生じる代謝物。菌叢構成により集団は産生型と非産生型に分かれ、東アジアでは約半数が産生型と報告される。ERβ への相対的に高い親和性が機序候補として議論され、更年期・骨・血管の RCT が実施されてきたが、効果量は小〜中程度で結論には至っていない。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

GABAとは何か:中枢神経の抑制性伝達物質と乳酸菌GAD系のあいだ

GABA(γ-アミノ酪酸)は哺乳類中枢の主要な抑制性神経伝達物質で、GAD によりグルタミン酸から合成される。GABAA/GABAB 受容体を介して神経興奮を抑制し、ベンゾジアゼピン等の作用部位として確立。Lactobacillus brevis などの乳酸菌も GAD を持ち、発酵食品に GABA を蓄積させる。経口 GABA の中枢直接作用は BBB 制約から限定的で、血圧・ストレス・睡眠への効果は階層を区別して読む必要がある。

FLR 編集部 10 min

発酵食品

味噌の発酵科学:麹菌と耐塩性微生物がつくる二段階の熟成

味噌は麹菌による糖化とタンパク分解の第一段階と、耐塩性酵母・乳酸菌による熟成の第二段階からなる二段階発酵食品である。アミノ酸・有機酸の生成、イソフラボン配糖体のアグリコン化、メラノイジン形成、塩分の役割を機序ベースで整理し、健康効果の評価は慎重に扱う。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

納豆の発酵科学:枯草菌・ナットウキナーゼ・ビタミンK2を機序から読む

納豆は納豆菌 Bacillus subtilis natto による大豆発酵食品で、ねばりのポリグルタミン酸、酵素ナットウキナーゼ、ビタミンK2(MK-7)を生む。線溶活性は試験管・動物中心で、骨や血管への効果は観察研究と介入研究で評価が分かれる。エビデンスの階層を示し、断定を避けて機序を整理する。

FLR 編集部 9 min

老化のホールマーク

ウロリチンA:エラグタンニンの腸内代謝とミトファジー、その到達点と限界

ウロリチンAは、ザクロやベリー、ナッツに含まれるエラグタンニンが腸内細菌で代謝されて生じる化合物である。産生能には個人差があり、ミトファジー誘導の機序が動物・細胞で示されてきた。筋機能や加齢に関するヒトRCTの到達点と限界をエビデンスの階層で整理し、効果やサプリの推奨は行わない。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

バナナの発酵:バナナ酒・バナナ酢を生む微生物と果肉の生化学

バナナ(Musa spp.)果実・果肉の伝統的発酵を、微生物学と生化学の言葉で整理する。東アフリカのバナナビール(urwagwa)に見られる酵母と乳酸菌の混合発酵、Saccharomyces cerevisiae によるバナナワインのアルコール発酵と香気エステル、酢酸菌が担うバナナ酢の二段階発酵を扱う。あわせて完熟に伴うデンプン→糖の転換、未熟バナナのレジスタントスターチ(RS2)とその大腸発酵を、機序とエビデンス階層を区別して解説する。健康効果は過大主張せず、アルコールについては飲酒を推奨しない。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

コンブチャ発酵で茶ポリフェノールはどう変わるか:カテキン・テアフラビン・ガロイル化の生化学

コンブチャの発酵で、原料茶のポリフェノール(カテキン EGCG/EGC/ECG/EC、テアフラビン、テアルビジン)はどう変換されるか。SCOBY 構成菌が分泌するエステラーゼ、配糖体加水分解酵素、酸化還元酵素の働き、ガロイル基の脱離、エピマー化、酸化重合、低分子ガロイル化合物の蓄積、グルクロン酸経路、pH 低下が酸化反応に与える影響を機序ベースで整理する。ヒトに対する生理活性は SCOBY 組成に強く依存して定量化が難しく、現段階で「強壮・解毒」等の包括的主張は支持されない。

FLR 編集部 10 min

腸内環境とSCFA

ポストバイオティクスとは何か:ISAPP 2021定義と「何がそうでないか」

ポストバイオティクスはISAPPが2021年に初めて専門家コンセンサスで定義した概念で、「不活化した微生物および/またはその成分の調製物」を指す。精製した代謝物・濾液・ワクチンは定義に含まれない。何が該当し何が該当しないか、除外規定を中心に整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

ポストバイオティクスはどう効きうるか:菌体成分・代謝物・免疫調節の機序候補

ポストバイオティクスは生きた菌でないため定着や増殖を前提としない。菌体成分による自然免疫の刺激、腸管バリアへの影響などが機序候補として議論されるが、機序の整合性は効果の証明ではない。何がどの段階で語れるのかを階層を保って整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

「食物繊維=プレバイオティクス」ではない:定義の境界と非繊維系候補

すべての食物繊維がプレバイオティクスではなく、すべてのプレバイオティクスが食物繊維でもない。ISAPP 2017定義は非炭水化物への拡張を認めたが、母乳オリゴ糖やポリフェノールなど候補の確立度には大きな差がある。定義の境界と、候補がどの段階にあるかを整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

プレバイオティクスとは何か:ISAPP 2017定義と「選択的利用」という判定基準

プレバイオティクスは「腸に良い食物繊維」と同義ではない。国際学会ISAPPが2017年に確定させた定義は「宿主微生物に選択的に利用され、健康利益をもたらす基質」であり、選択的利用という判定基準が単なる発酵性成分と一線を画す。定義の構造とその意味を整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

プロバイオティクスのエビデンスをどう読むか:適応別の確からしさと「生きて届く」の実際

プロバイオティクスの効果は適応ごとに証拠の厚みが異なり、株が変われば結果も変わる。「プロバイオティクスは健康に良い」という総括は科学的に意味をなさない。エビデンスを適応別・株別に読む作法と、「生きて腸に届く」と効果が別問題である理由を整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

シンバイオティクスの定義:相補型と相乗型はどう違うか

シンバイオティクスは「プロバイオティクスとプレバイオティクスを足したもの」ではない。ISAPP 2020定義は混合物としての健康利益を要件とし、相補型と相乗型という二つの類型を導入した。両者は構成要件が異なり、相乗型では基質が共投与菌に向けて設計される。

FLR 編集部 9 min

発酵食品

アシルステリルグルコシド(ASG):植物・発酵食品由来の膜脂質と腸管ステロール動態

ステリルグルコシド(SG)とそのアシル化体 ASG は、植物形質膜の微量糖脂質であり、米ぬかや大豆など発酵食品にも分布する。膜物性、腸管でのステロール動態、コレステロール吸収抑制という機序を分子・細胞・個体の各レベルで整理し、ヒト知見の限界とともに検討する。

FLR 編集部 10 min

発酵食品

カカオポリフェノールと腸内細菌軸:低吸収成分が代謝物に変わり宿主にはたらくまで

カカオポリフェノールの多くは小腸で吸収されず大腸へ届く。そこで腸内細菌が低分子代謝物へ変換し、菌叢の組成にも選択圧をかける。この双方向の腸内細菌軸を分子から個体まで機序で追い、ヒト試験の証拠水準を相関と因果を分けて整理する。

FLR 編集部 10 min

発酵食品

食事とDDS:食事マトリクスと食品グレード担体が機能性分子の溶解・安定・吸収を変える機序

ポリフェノールやカロテノイドなど難吸収の機能性分子は、何と一緒に食べるか(脂質共摂取・乳化)や食品グレードの担体でどれだけ届くかが変わる。食事マトリクスとDDSの原理を分子・消化管・個体の多段で整理し、代理指標と臨床アウトカムを分けて過大主張を避ける。

FLR 編集部 11 min

発酵食品

コンブチャの健康研究をエビデンス階層で読む:in vitro から限られたヒト試験まで

コンブチャの抗酸化・代謝・腸内細菌叢への作用を、in vitro・機序から動物、そして限られたヒト試験までのエビデンス階層で整理する。試験管内の抗酸化能がヒトでの効果に直結しない理由、相関と因果の区別、健康効果を過大主張しないための読み方を機序ベースで示す。

FLR 編集部 11 min

発酵食品

コンブチャの SCOBY を機序で読む:酢酸菌と酵母の共生が糖をエタノール経由で有機酸へ変える

コンブチャを発酵させる SCOBY は単一の生物ではなく、酢酸菌・酵母・しばしば乳酸菌の共生菌叢である。酵母が糖をエタノールへ、酢酸菌がそのエタノールを酢酸へ酸化する代謝リレーを、分子・微生物叢・個体のレベルで機序ベースに整理し、組成が条件で大きく変動する理由を示す。

FLR 編集部 11 min

老化のホールマーク

パントエア菌 LPS(IP-PA1)と自然免疫:TLR4 を介したマクロファージ活性化の機序を読む

穀類など植物表在に普遍的に分布する Pantoea agglomerans の細胞壁由来リポ多糖(研究上 IP-PA1 と呼ばれる)は、TLR4/MD-2 を介してマクロファージを活性化する物質として検討されてきた。分子から個体までの機序を、提唱されている枠組みと検証段階を区別して整理する。

FLR 編集部 10 min

老化のホールマーク

パントエア菌の二面性を中立に読む:植物共生・有用性と日和見性のあいだ

Pantoea agglomerans は植物に共生し有用性が研究される一方、日和見感染源や粉塵内毒素源にもなりうる。命名変遷と分類学的不均一性を踏まえ、有用性と二面性を一方に寄せずに併置し、用量と経路で評価が変わる細菌をどう中立に読むかを整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

腸管IgAと食品免疫:前胚中心B細胞という分岐点

腸管で最も多く分泌される抗体 IgA は、腸内細菌叢との均衡を保つ要である。東京科学大学の安達貴弘准教授らはマウスのパイエル板で IgA 産生に向かう前胚中心 B 細胞の新規マーカーを 2022 年に報告した。本稿は腸管IgAの分子・細胞機構を食品免疫の視点で整理する。

FLR 編集部 10 min

腸内環境とSCFA

パラミロンとβ-グルカン:腸管のカルシウム応答を可視化する

微細藻類が蓄える β-1,3-グルカン「パラミロン」は、腸でどの細胞に、どのように作用するのか。東京科学大学の安達貴弘准教授らは 2020 年に、パラミロンが腸管の上皮・免疫・神経の各細胞でカルシウムシグナルを誘導することを生体イメージングで示した。本稿はその機序を整理する。

FLR 編集部 11 min

発酵食品

味噌由来菌の加熱殺菌菌体がB細胞のIL-22を誘導する:細胞種とサイトカインを特定した研究

発酵食品が体に良いという経験則を、分子の言葉にどこまで翻訳できるか。東京科学大学の安達貴弘准教授らは、味噌などから分離した菌の加熱殺菌菌体が培養マウス B 細胞にサイトカイン IL-22 を誘導することを 2020 年に報告した。本稿はこの研究で確かめられた範囲と、まだ確かめられていない範囲を切り分けて整理する。

鈴木 健吾 10 min COI

腸内環境とSCFA

スペルミジンはどこから来るか:腸内細菌のポリアミン生合成と食事供給の機序

体内のスペルミジンは、自前の生合成・食事からの摂取・腸内細菌による産生という三つの供給源で支えられる。加齢で生合成が落ちる局面で、腸内細菌のポリアミン生合成と食事供給がなぜ重要になるのか。マウスでの probiotic 介入研究と栄養学的整理を、機序の側から多段で解説する。

FLR 編集部 12 min

腸内環境とSCFA

テンペと腸内環境・粘膜免疫:A. muciniphila と分泌型 IgA への影響を機序で読む

テンペ摂取はヒトの小規模介入で Akkermansia muciniphila の増加と分泌型 IgA の増強が報告され、動物では腸内細菌叢の調節や炎症マーカーの改善が示されている。これらの観察を機序ベースで読み解きつつ、エビデンス階層と大規模 RCT 不足という限界を明示する。

FLR 編集部 11 min

発酵食品

テンペとビタミン B12 論争:随伴細菌由来コバラミンを科学的に整理する

テンペは植物性食品でありながらビタミン B12 を含むとされ、菜食者の B12 源になり得るかが古くから議論されてきた。B12 はカビではなく随伴細菌に由来し、活性型と不活性アナログの判別、生成の不安定さ、産生菌の安全性論点がある。論争を煽らず、何が分かっていて何が未確定かを機序ベースで整理する。

FLR 編集部 11 min

宇宙環境と微生物

宇宙滞在で腸内細菌叢はどう変わるか:Voorhies 2019 と発酵研究の接続

国際宇宙ステーション(ISS)に 6〜12 か月滞在する宇宙飛行士の腸内細菌叢を追跡した Voorhies らの 2019 年の Scientific Reports 論文は、軌道上で菌叢構成が一定方向に収束し、サイトカインプロファイルの変化と相関することを示した。地球上の発酵食研究と、長期宇宙滞在を見据えた食料系研究をつなぐ位置を整理する。

鈴木 健吾 10 min

発酵食品

酒粕の脂質性成分と腸:Yamashita 2020 が示した発酵由来グルコシルセラミドの腸保護

2020年に Yamashita らが Journal of Oleo Science で発表したマウス試験は、清酒米と酒粕のエタノール抽出物を比較し、発酵を経た酒粕でグルコシルセラミド・セラミドが高濃度であること、食餌性の酒粕が化学誘発の腸傷害指標を抑制したことを報告した。機序と限界を整理する。

鈴木 健吾 9 min COI

腸内環境とSCFA

発酵代謝物が脳に届く道:Silva 2020 が整理した短鎖脂肪酸の腸脳シグナル

2020年に Silva らが Frontiers in Endocrinology で発表した総説は、腸内細菌が食物繊維の発酵で産生する短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)が、腸脳シグナルにどう関与しうるかを整理した。神経免疫内分泌調節における SCFA の位置づけを、機序ベースで振り返る。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

短鎖脂肪酸はどう宿主に効くか:GPCR と HDAC を介した二つの言語

腸内発酵で生じる短鎖脂肪酸は、受容体(GPCR)への結合とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害という二つの言語で宿主に作用する。Ghosh 2020 の NU-AGE 試験が示した「食事による短鎖脂肪酸産生能の上昇」を起点に、この二つの機序と長寿研究の接点を整理する。

FLR 編集部 13 min

発酵食品

麹菌 Aspergillus oryzae の機能性:日本の発酵を支える生物資源

麹菌 Aspergillus oryzae は日本酒・味噌・醤油・甘酒の製造を支える糸状菌で、2006 年に日本醸造学会から「国菌」に指定された。Hamajima らが 2016 年に報告した、麹由来グリコシルセラミドが腸内 Blautia coccoides を選択的に増やす知見を起点に、伝統発酵が運ぶ機能性成分の機序を整理する。

鈴木 健吾 9 min COI

腸内環境とSCFA

腸脳軸と認知機能:SCFA と迷走神経シグナルの機序

腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸は、迷走神経の求心性終末・サイトカイン・神経伝達物質前駆体を介して中枢神経に影響を及ぼす。Cryan らが 2019 年に Physiological Reviews で総説した枠組みを起点に、発酵食品摂取が認知機能とウェルビーイングに関わりうる経路を整理する。

FLR 編集部 9 min

腸内環境とSCFA

酪酸の二重作用:大腸上皮のエネルギー源とエピジェネティック調節因子

酪酸(butyrate)は大腸上皮細胞の主要エネルギー源であると同時に、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤としてもふるまう。Donohoe らが 2011 年に Cell Metabolism で示した「腸内細菌不在のマウスで大腸細胞がオートファジーに陥り、酪酸補充で正常化する」観察は、二つの作用が連動していることを示唆する。

FLR 編集部 9 min